第一話 数日後












































第一話あとがき






	あとがき書くのってきらいなんです。
	大事な箱を暴いちゃうみたいで。
	開けないままの箱に夢が詰まってるのに、暴くみたいで。
	そのままにしておいて欲しいから。
	でも読者である場合の自分は、暴くの好きだから、今回は書きます。

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	最後にドリンクバーで粘ったのはいつだろう?

	青春時代、どうしてあれほど喋っていられたんだろう。
	電話の充電が切れるまで電話して、親にめっちゃ叱られた。
	電話代もひどいことになった。
	話しても話しても話し足りなくて、帰ってからもまた電話したり、手紙を書いたり、夜が明けたりした。
	何を話していたかは全然覚えてないのに、そのときはとても大事なことだった。

	大人になってからも、たまにそのくらい話し込むことはあるけど、熱が違う。
	今日話し込んだのに明日も話し込むということはない。
	大人だから。分別があるから。相手の迷惑を考えるから。自分にも都合があるから。明日は仕事だから。

	大人になってから、考えたこと、話したいことは、ある部分で、社会への発信みたいな感じになってしまった。
	有益か、有意義か、みんなの役に立つのか、面白いのか楽しいのか、みたいなことが大事で、
	そのために発表する、みたいな感じになってしまった。
	人の話を聞くときもそうだ。
	有意義か、面白いか、ためになるか、そんなことばかり気にして聞いている気がする。

	トモダチの間で、ただ喋ったことというのは、それだけで、そこだけで、
	純度の高い「おしゃべり」であって、社会の片隅で行われていて、
	誰かに聞かせるためでもないし、
	結果的に自分のためになったり、将来役に立ったりすることもあるけど、
	誠実なまでに「おしゃべり」だった。

	おしゃべりのためのおしゃべり
	おしゃべり for おしゃべり。
	あの熱さや、純粋さが懐かしい。

	怜央が、はったりをかまして、適当をしゃべくり、
	最後には全然覚えていないのは、お喋りのためのお喋りに忠実だからです


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	フリゲ展春っていう、春のゲームのお祭りに参加したいなぁ
	と思って色々アイデアを考えてたんだけど、
	「私らしく面白い」ものがなかなか思い浮かばなかった。
	アイデア自体は色々浮かぶけど、あんまり「私らしい」面白さを見いだせなかった。

	そんななか、「これかな」と思い至ったのが、
	「主人公は町中に置かれ、徹底的に町の人の話を聞き倒すゲーム」だった。
	聞いて聞いて聞きまくる。つまり私は、町人のセリフを書いて書いて書きたおす。
	ゲームを作ってるとき一番楽しいのが、セリフを考えることだ。書き倒せたら楽しいだろうと思った。
	RPGをプレイする側である場合の自分も、
	人の話を聞くのだけが好きなのだ。聞いて聞いて聞き倒す。

	そんなゲームを作るのは楽しそうだったが、成立させようとすると、
	「セリフを聞いてる内に謎が解ける」系の流れが必要そうで、
	というかそもそも主人公はなにゆえにそれほど聞き倒しているのか、
	その目的を設定しなくてはならず、
	私は「目的のために、聞く」のではなくて、
	「聞き倒す」ことを面白さの主題にしたかったので、
	ちょっと上手く表現できるだけの実力がないなぁと思って、いったん保留になった。

	そんなことを友達に(ノラ・たむ・あーんに)ぐだぐだ言った翌朝、
	目が覚めた瞬間、「やっぱり、ほんとに話をするだけの作品を作ろう。」と思い、
	それならそれは漫画だということになった。
	私はそもそも漫画描きだからだ。
	
	そして、思いつく限りの「不実な、はてしないおしゃべり」を
	だーーーっとメモ帳に書いていった。
	誰がどこでどうやって喋っているのかは全く考えず、何もこだわらないで書いた。

	場所設定もなく、誰が何故、どういう状況で話しているか、
	書いていく内に幾つかの方向性が定まった。

	まずは、「東京弁」だった。
	個展で大阪に行ったときに痛感したのは、私って、
	コテコテの、ベタベタの、東京弁使いだということだった。
	日頃、関東で暮らしていると全く気にならないのだが、
	大阪に行くと、一言「こんにちは」「ありがとう」と言うだけで、
	ものすごく浮いている気分になった。
	「っていうか」「〜じゃん」「だよね」「でもさー」
	こんな普通(と思っていた)の喋り言葉が、ぜんぜんふつうじゃない、
	東京弁コテコテだったんだ、ということに改めて気付いた。
	せっかくなので、それを徹底的に生かそう。東京臭コテコテの会話にしよう。

	もう一つは、イケメンを描き倒すということだった。
	これには語弊があって、本当の意味では別にイケメンでなくて構わない。
	ただできれば、特徴があって、描いてて楽しい人。
	色っぽくて、かっこよくて、可愛い男性。渋くてもいい。
	男臭くてもいい。筋骨隆々でもいいし、細マッチョでもいい。
	アンガールズ的細さを持っていてもいい。描いていて楽しい人。
	何故そんな人を描き倒さなくてはいけないかというと、
	日頃 イラスト的な絵を描こうとすると、どうしても「可愛い女の子」によってしまうからだ。
	本当は何を描こうが自由なのだが、どうしてもそうなってしまう。
	可愛い女の子がにっこり笑ってる絵になってしまう。
	私が、そういう絵が無意識的に好きなんだろう。

	あちこちの角度から色々な表情で描き倒せる、それが漫画のいいところだと思う。
	と言うとなんか変態的だけど、ありとあらゆる角度からキャラクターを描けるのが面白い。
	シリアスな顔、笑顔、ふざけた顔、ゆがめた口元、見開いた目、髪の一本一本。
	視線、指の動き、角度、服のシワ、そういったものを描き倒したいのだ。

	そんなわけで、登場人物は東京在住のイケメン男性二人ということになった。

	よく、エロい作品を、リビドー全開で作っている人を見ると、良いものだなと思う。
	自分が思う美、エロを、これだ、これが美しいと俺は思う! どうだ! と表現してるからだ。
	そんな感じで描けていて、伝わったら良い。

	「二人が話している」という状況が好きだ。
	「ふたり」は世界の最小単位。
	「ふたり」は自対他じゃなくて、おまえとわたし。

	徹底的に、イケメン二人がしゃべり倒すという漫画が生まれた。


	「しゃべってるだけ」を漫画にして面白さを作れるのか
	描き始めたときは不安が大きかったけど、描いてみたら面白かったと思うので、描いて良かったです。
	とても「私らしい」作品になったので、それが一番うれしい気がします。
	
	何回も言うけど、感想いただけたらうれしいです。
	ここのコマ好きーとか、怜央キノコーとかでもええんやで。

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漫画描いてる間 怜央化してしまい
口数がめっちゃ増えて
ブログ書きまくったり
ツイッター呟きまくったり
してしまいました

あと集中して漫画描き過ぎて
肩凝りと腰痛がひどかったです
そんな集中して描かなきゃいいんだけど
そんな集中しないと描けんのや
ナンギやで……



後ろ髪は刈り上げられている。


感想おくれ↓↓

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